星降る夜の贈りもの Archives

最新 Season 3 Season 2

She / Charles Aznavour
吉田 建(Bass)(2018.10.23)

先月、9月17日夜、激しい雨が降り続く中、期待に胸を膨らませながらボクはNHKホールに向かいました。
本来5月に行われるはずだったコンサートは思わぬ事故で9月に延期、半年近い時間をおいて彼はやって来たのです。 彼とは、そう、フランス・シャンソン界、いや音楽界にとどまらず映画界の大御所、シャルル・アズナブール。

雨に濡れた服を気にしながら、彼の声を聴きたくて、姿を見たくて集まった人でホールは満杯、開演を今か今かと待っていました。
10分ほど押したでしょうか、バンドの音に続いてステージに現れた彼は、あの声で歌いだしたのです。そこには紛れもなく、半年近く待ち続けたシャルル・アズナブールが立っていました。
往時と少しも変わらない声、年齢など少しも感じさせない立ち姿、これが本当に3/4世紀以上歌い続けて来た94歳の歌手とは信じられないパフォーマンスでした。
次から次へと繰り出す名曲、暖かいトーク、さすがフランスならではのセンス溢れるアレンジ、そして照明、それに惜しみなく拍手を送る観客たち。
近年、これほど「人柄 」が伝わるコンサートを堪能することはなかったように思うのです。
40年代にエディット・ピアフに認められてから、プロ歌手として歌い続け、俳優としても演じ続け、また故郷の平和活動を続けた一人のアーティストの人柄がひとつひとつの曲や語りかけることばに滲み出ていました。
ステージの後半、観客のすべてが期待する「La boheme」、そして「She」、その歌声をレコードでなく、いまここで聴けること、それは涙溢れんばかりの幸せでした。

それからたった2週間後の10月1日、嵐の夜に突然の訃報…。思わず、え? ウソでしょ?
この間まで歌ってたじゃないか、思わず口に出してしまうほどの衝撃だったのです。
激しい雨の中、ズボンの裾をびしょびしょに濡らして向かったホールで彼と共に過ごした時間、今となっては奇跡とも言える時間に感謝したい。
さよなら、シャルル・アズナブール !

*「She」はイギリスのロック・シンガー、エルヴィス・コステロがカバー、映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

浄夜 / シェーンベルク
奥村 愛(Violin)(2018.10.16)

今までの人生であまり洋楽には縁がなかったので、私は私らしくオススメの曲をご紹介したいと思います。
“浄夜”に出会ったのは高校生の時。学校の文化祭で、先輩に誘っていただいた弦楽アンサンブルの本番で演奏しました。
《月明かりの下、並んで歩く恋人。そこで女性は その男性以外の子供を身籠っている事を告白する。
苦しむ女性をよそに、男性は「自分の子供として産んでくれ。きっとこの月の光が全てを浄化してくれるだろう。」と言って抱きしめる》
というリヒャルト・デーメルの詩を題材にした曲です。
女性の苦しみや、男性の包み込む優しさを見事に表現しており、特にチェロの重厚感は涙が出そうなほど感動します。
元は弦楽六重奏曲として作曲されましたが、個人的には弦楽アンサンブル版をオススメします!

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

Little Ghetto Boy / Donny Hathaway
角田 順(Guitar)(2018.10.09)

アルバムに参加しているギタリスト(Cornell Dupree)が好きなので買ったのですが、メンバー全員の演奏はライブアルバムなのに臨場感が素晴らしく、まるで会場に実際にいるような感覚にとらわれます。
しかも歌詞のメッセージの内容が当時は理解できませんでしたが、後に和訳を理解したところ、その内容の素晴らしさにもう感動いたしました!
本当に音楽は人の背中を押す力を持っていると感じました。
聞くたびに、悲しいのでは無いのですが涙してしまいます。
心を掻き乱されます。
「Everything has got to get better」
と言う歌詞が出てきます。
内容はゲットーで悪い環境から悪の道へ進んでしまいそうな少年に向けてのメッセージでした。
You're so young
君は若いのだから
You've got so far to go
君は遠くまでいかなくちゃならない
Everything has got to get better
全てはよくなっていくはずだよ
今日もまた、聴いて勇気をもらいます。

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

Everything Happens to Me / The Paul Desmond Quintet featuring Don Elliott
伊勢久視(Horn)(2018.10.02)

旋律が美しく雰囲気があるこの楽曲は、沢山のアーティストがカバーしているようだ。フランク・シナトラが歌った原曲が印象的だったのがわかる。
楽曲も素敵だが、紹介したいのはプレイヤーのドン・エリオットだ。

私は中学の吹奏楽部でホルンを始めたが、学校にはフレンチホルンの代用品として扱われていたメロフォンしかなく、他校はフレンチホルンだったので悔しく思っていた。
上京後、ホルンの師匠からジャズホルンの世界を聞き、その中でドン・エリオットと出会った。彼はメロフォン、トランペット、ビブラフォン、打楽器、歌を巧みにこなすプレイヤーだ。
中学でメロフォンを代用品として見ていた自分にとって、彼の演奏は魅力的で衝撃だった。
この楽曲でも彼のメロフォンとサックスの掛け合いがシットりメロウな雰囲気で、学生時代は好んで聴いていた。

昨年デジタルリマスター化し発売された、彼の6枚のアルバムをまとめたCDも素晴らしいので、気になった方はドン・エリオットの音楽を聴いて欲しい。

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

Rupert Holmes / Partners In Crime
旭 純(Piano)(2018.09.25)

当時中学生になり洋楽に興味を持ち始めてから数枚目に手に入れたアルバム。渋谷のタワレコかCISCOのどちらかで。

その頃の音楽シーンは本当に色々なジャンルがクロスオーバーしていて私には混沌とした感じでした。ロック、フュージョン、テクノ(今のテクノとは違います)、ニューウェーブ、などなど。そんな時代背景や自身の性格的なものもあり私は好きなものをジャンル問わずに聞いていました。

その中でもこのアルバムはお気に入りで、カセットにダビングして四六時中ウォークマンでヘビロテ、特に夜歩きながらが大好きでした。中学時代、一番聞いたアルバムかと思います。その頃は私も音楽的な知識などもまだ浅く、ただただ感覚で聞いていたのですが、今思うと随分大人びた音楽だったなぁと。

アレンジ、詩の内容、本当にインテリジェンスに溢れていて素晴らしいのです。レコーディングされた音、ミックスも完璧。バンドアレンジ、アンサンブルのお手本の宝庫です。西のクリストファー・クロス、東のルパート・ホームズ、と言われただけのことはあります。

バーブラ・ストライザンドが彼の1stアルバムのタイトル曲をカバーしたり、バリー・マニロウ、ディオンヌ・ワーウイック、マンハッタントランスファー、など多くの大スターが彼の作品を取り上げたのも納得です。

私のオススメは勿論全米No.1獲得曲のESCAPE、ですが9曲目のGet Outta Yourself も。イントロ、ドラムパターンだけで始まるのですが、これが中々すごくて。なんて気がついたのは大人になってからですが。笑 多分叩いているのはSteve Jordan だと思われるのですが、Rick Marotta という説もあったりなかったり。そんなことを考えながら酒飲みながら聞くのも一興です。

当時のN.Yの香りを楽しめる一枚、興味のある方は是非お聞きください!

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown
下神竜哉(Trumpet)(2018.09.18)

音楽からの贈り物
このレコードと出逢ったのは高校3年の時に、某大学のビッグバンドJAZZオーケストラのトラでどちらかと言うと勉強させていただいていた頃でした。
中学校の吹奏楽部でトランペットを始めレコードを沢山持っている先輩の家で週末は、お酒を飲みながら?トランペットの神様モーリス・アンドレやチェイスにメイナード・ファーガソン、先輩は、超マニアでベルリンフィルとかでなく、モスクワ放送交響楽団のショスターコーヴィチの「革命」とかを大音量で聞かせてくれました。とてもクラシックとは思えない音圧とビブラートがちょっと笑えるくらいに凄くて今思えば良い経験でした。中学生にしては、かなりマニアックなライブラリーでしたね。
そこで知ったハイノートトランペットのメイナード・ファーガソンの「ロッキーのテーマ」を目覚ましにして今日も頑張るぞ!と朝練にロングトーンをしに行くのが日課でした。
音域を広げることに命を懸けて高校生のなって、そのファーガソンの「ロッキーのテーマ」「マッカーサーパーク」「明日にかける橋」を演奏し大学生に呼ばれて調子に乗っていた時にテナーサックスの大学4年生の斎藤さんに、「お前これを聴け!」とクリフォード・ブラウンの「メモリアルアルバム」を頂き、その中のバラードに感動しました。これまで俺は何を聞いていたのかなぁ、と。それは、美しかった。
普通、BeBop JAZZのクリフォードの方に耳がいくのですがバラードの素晴らしい演奏に衝撃を受けました。そして銀座の山野楽器でこのアルバムに出逢いました。バラードアルバム!しかもストリングスと!
それからは、このレコードをカセットテープに録音してWALKMANで100万回聴きました。
大好きなレコードです!是非皆さんも聴いてみてください!
ニール・ヘフティのアレンジも素敵です!
ストリングスと演奏するのが夢でしたそれが、ついにかないました。
コンサートが楽しみです。早く来年にならないかなぁ。
とか。

Clifford Brown with Strings / Clifford Brown

What's New / Linda Ronstadt
吉田 建(Bass)(2018.09.11)

今宵、ボクからの贈りものは、70年代後半「ミス・アメリカ」と呼ばれ、恋多き女性の代名詞でもあったリンダ・ロンシュタットのアルバムです。
当時の彼女はローラー・スケート靴を履いて、ホット・パンツ姿でファンの心を鷲掴みにした「悪いあなた」(彼女の最初のヒット・シングルのタイトル)だったのですが、元々、声もよく、歌も上手だったことで プロデューサー(60年代イギリスのグループ・サウンズ「ピーター&ゴードン」のピーター・アッシャー)が極端な方向転換をして作ったのがこの「What' New」というアルバムなんですね。
アメリカのスタンダード曲を、なんとシナトラやナット・キング・コールなどのアレンジャー、ネルソン・リドルのオーケストラで録音して世界を驚かせたのです。
What's New~?という一曲目のリンダの歌声でボクの心は夏の夜空の花火のように飛び散ったことを憶えています。 それまでのR&Rやカントリーと違い、アメリカの偉大なスタンダードを自分のスタイルで堂々と歌いきるリンダにメロメロになったあの頃の自分を思い出します。
思えばこの一枚が今に繋がるオーケストラの夢をボクの中に芽生えさせたのかもしれないですネ。
これに続く「Lush Life」「For The Sentimental Reason」、どれもおすすめのアルバム、聴いて損はない!保証します。
星空のもと、秋風を感じながらロマンティックなムードに浸りたい夜にピッタリの一曲、いや、一枚です。
(*アルバム・ジャケット、リンダの左横にある、SONYの初代WALKMANにも注目!)

tristeza /  Elis Regina

ガーシュウィン ピアノ協奏曲 / cond.pf アンドレ・プレヴィン / ピッツバーグ交響楽団 (1984.5)
進藤麻美(Violin)(2018.09.04)

初めまして、ヴァイオリンの進藤麻美です。
今回はこの"星降る夜の贈り物"というタイトルのイメージで思い浮かんだ、大好きな曲を選んでみました。

この曲は、ガーシュウィンが27歳の時、ラプソディーインブルーの次の年に書いた管弦楽曲で、独学でオーケストレーションを学びながら書いたそうです。
クラシック、ジャズ、ブルース、、色んな融合が本当に素晴らしくて、聴くたびにワクワクします。

個人的にはこの曲を聴くと、
私の中でガーシュウィンがマイブームだった大学生の頃を思い出します。
確か自分のパソコン、iPodを買ってもらったのが大学生の頃で、それからは次々CDを借りては、iPodに入れて移動中は常に音楽を聴いていました。
この曲もその頃に1984.5月のプレヴィンの演奏出会いハマり、何度も何度も聴きました。
このピアノ協奏曲は、色々な方の演奏をたくさん聴きましたが、これが私は1番のお気に入りです。

この曲はホールでの演奏も良いですが、そのうち星空の下、野外ステージで演奏してみたい曲です。

ストレンジャー・イン・パラダイス / ニュー・サウンズ・イン・ブラス
堂山敦史(Horn)(2018.08.28)

この曲との出会いは私が中学一年生の時でした。
吹奏楽部の先輩からプレゼントされたカセットテープの中に入っていた曲で、カセットテープのタイトルには「吹奏楽の曲」とだけ書かれていたため当時は聴いている曲の名前も演奏者も知りませんでした。
元々はボロディン作曲のオペラ「イーゴリ公」の「ダッタン人の踊り」のメロディーが使われており、ミュージカルの挿入歌として作られました。
その後様々なアーティストにより歌い、演奏されて来ています。
ニュー・サウンズ・イン・ブラスの演奏に歌は入っておりませんが、冒頭から楽園を感じさせる優しい響きが聴こえてきて、その後オーボエ、トランペット、ホルンなど其々の見せ場で様々な場面の想像が膨らんだものです。
とても心地よく身体に響いていたのを思い出します。
中学生の頃、毎晩のように深夜まで音楽やラジオを聴いて色々なことを感じ、経験していった時代の心に残る曲の中の一つです。

ストレンジャー・イン・パラダイス / ニュー・サウンズ・イン・ブラス

恋はみずいろ / アンドレ・ポップ
桐田良栄(Viola)(2018.08.21)

はじめまして、SNGOヴィオラの桐田良栄です。皆さんに文章で発信するのは初めてのこと、少し緊張しています。
私にとってただ単に好きな曲だけ考えると、たくさんありますが、その中でも想い出として強烈に印象付いてる一曲を紹介したいとおもいます。それはアンドレ・ポップ作曲の『恋はみずいろ』、ポール・モーリアが編曲してヒットした曲としても有名ですよね。
この曲を初めて知ったのは、もうかれこれ?年前の高校一年生の時です。中高一貫教育のなか、管弦楽部に入っていた私は、毎年、北総公団鉄道の駅コンサートで、クラシックや映画音楽を中心に中学生の頃から演奏してきました。高校一年生の時、少し風変わりな副顧問の先生が『恋はみずいろ』を管弦楽部用に編曲してきたのです。演奏してみると、それまでとはまったく違う曲風で私にはとても衝撃でした。普段演奏しているクラシックのほうがずっと古いのに、それよりも古くさいメロディーが強烈に感じられ、更に順番に下降してるだけの単純な音なのに、一度聞いたら頭から離れないフレーズ。演奏していてとても楽しかったことを昨日のことのように思い出します。しまいには、駅の階段を降りるときでさえ、取り憑かれたように頭の中でその下降しているメロディーを歌うまでに….。今考えるとよほど強烈だったのでしょう。また、好きな人を想う恋心を青、離れてしまう寂しさを灰色と、色に例えて歌う歌詞も素敵でとても好きなところです。このエッセイのオファーを受けて、星空の下で久しぶりに聴く「恋はみずいろ」は少しも色褪せることなく、たくさんの想い出を連れて私の胸に響いてくるのです。

恋はみずいろ / アンドレ・ポップ

Standing On The Outside / Robben Ford
古澤 衛(Guitar)(2018.08.14)

この曲に出会ったのは大学1年の時でした。ロベンフォードといえばブルース・フュージョン系ギターリストとして有名な方です。当時はギターを中心に音楽を聴いていた時期で、歌モノでも歌よりも伴奏のギターを聴いているという感じでした。この曲が入っているアルバムもロベンフォード名義なので当然ギターアルバムとして期待して買ったのですが聴いてみたら1 曲を除いて歌モノのAORという内容でした。ガッカリした私は一度聴いただけでその後聴きませんでした。それから2年くらい経ちすっかり歌モノが好きになった私はあるときこのアルバムの事を思い出し聴いてみたところ、この曲にもの凄く感銘を受けドハマりしてしまいました。切ないメロディー、歌のアーティキュレーション最高です。間奏のサックスのソロをギターでコピーしたりしてました。私の青春の1曲です。

Standing On The Outside / Robben Ford

tristeza / Elis Regina
岡田梨沙(Drums)(2018.08.07)

わたしがこの曲に出会ったのは大学を卒業してすぐの頃。 その頃はちょうどカフェブームの時代。夜カフェという言葉が出来たりもして、カフェという場所が、昼間にお茶を飲むだけじゃなく、夜に心地よいBGMを聴きながら美味しいご飯を食べたりお酒を飲んだりするところに。
わたしもまんまと夜カフェ通いにハマり、そこで出逢ったブラジル音楽(サンバやボサノバ)が大好きに。その中でもこの曲には特に心を打たれました。
tristezaという曲は1965年頃からある、有名なブラジルの曲。たくさんのシンガーにカバーされています。その中でもわたしはエリスレジーナが歌うバージョンが一番好き。
アレンジもユニークだし、何よりも彼女の歌声は空に突き抜けるような奔放さと多幸感に溢れています。
けれど実はものすごく暗い歌詞を歌っている。
そのコントラストにグッと来るのです。
「tristeza」はポルトガル語で「悲しみ」という意味。
ぜひ歌詞の意味も調べて、曲も聴いてみてください。
夏の夜にピッタリな一曲だと思います。

tristeza /  Elis Regina